Monthly Column マンスリーコラム

2026年10月号

人生はブリーフに行こう!

ジイさんのセカンドキャリア

みなさん、こんにちは。佐藤あきらと申します。初めての方は、どうぞよろしくお願いします。

わたしはまもなく喜寿を迎えようとしている、世間ではジイさんと呼ばれる年齢です。(文字にすると恐ろしいですね)

歳をとると、自分の経験だけは増えていくので、とかく説教くさい話をしはじめがちです。でも老害にはなりたくないので、コラムの執筆なんて安請け合いしてしまって少し後悔もしています。

こちら、いわてキャリコンの会員の中には、たくさん存じ上げている方がいらっしゃいます。みなさん、わたしの定年後のキャリア形成の中で、ときに導いてくれたり、ときに重要な示唆をくれたり、直接的に間接的に支援してくださった方たちです。

わたしのキャリアに関わってくださったみなさま、ほんとうにありがとうございます。みなさんとの偶然の出会いが、今のわたしを作っています。(クランボルツ的ですね)

会社勤めを終えた後のわたしのセカンドキャリアは、「産業カウンセラー」と「キャリアコンサルタント」の〝二刀流〟で続いてきました。

二刀流と言っても、わたしの中では、この二つの仕事は同じ地平でつながっています。メンタルヘルスの問題がキャリアに影響することもあれば、キャリアの問題がメンタルヘルスの不調につながることもあります。そういった意味では、両方の勉強をしておいてよかったなあと感じています。

「悪者」を作らないセラピー

そして、わたしの中でこの二つの領域をつないでいるのが、ブリーフセラピーです。

ブリーフセラピーは「短期療法」とも呼ばれ、その特徴をひとことで言うと、問題の原因を探すことよりも、今あるものを使って解決の可能性を探っていこうとする考え方です。

わたしとブリーフセラピーとの出会いは、産業カウンセラー協会の講座で、当時岩手大学の教授だった奥野雅子先生と出会ったことから始まります。

その講座で奥野先生は、「ブリーフセラピーは〝悪者〟を作らないところが私は好きだ」とおっしゃっていました。

このひと言に惹かれたわたしは、奥野先生が主催する「短期療法を学ぶ会盛岡」に参加することにしました。毎月一回、大学院生や卒業生、社会人が集まって、専門書の読み合わせとロールプレイをする勉強会です。奥野先生は臨床経験がとても豊富で、先生が語る臨床事例のお話が、毎回一番の学びになりました。

その後、ブリーフセラピーはわたしに新しい世界を見せてくれました。「社会構成主義」「一般システム理論」「コミュニケーション理論」など、目新しい名前はわたしを虜にしました。夢中で本を読み、学会にも参加し、気が付いたらブリーフセラピストの資格がわたしの手の中にありました。

ブリーフセラピーがもたらしてくれたことはたくさんあります。なかでも大きかったのは、次の二つです。

笑いの効用

ひとつは「笑い」です。

奥野先生もそうですが、東北大の若島孔文先生(知る人ぞ知るセラピーの達人)も、講義では必ず笑いを入れてきます。それにはちゃんとした意味があり、笑いの本質は〝文脈外し〟(予想外)にあるということなのですが、難しい話は傍に置いても、笑いがあるセミナーや面接は、わたしにはいい成果が残るものになることが多いと感じています。

今年仙台で受けた若島先生のセミナーでこんなことがありました。ロープレでPTA役を決める時、わたしが手をあげると若島先生は「じゃ佐藤さん、お母さん役、お願いします」と真顔で言った後、ニヤリと笑うのです。

「やられた…」とわたしは思いました。

その一言で笑いを取り、その場の空気を一瞬でなごやかなものに変えてしまうのです。まったく名人芸を見せられたようでした。

怖くなくなった理由

もうひとつは「勇気」です。

以前に奥野先生は、ブリーフセラピーの考え方を知って自分のものにしてからは、どんなクライエントが現れても怖くなくなった、とおっしゃいました。

わたしも(奥野先生と並べて語るのは畏れ多いのですが)、最初の頃はキャリアコンサルティングで精神疾患を患った方だとわかると、とたんに冷水を背中にかけられたようになり、自分の言葉で傷付けはしないかと緊張したものです。

カウンセリングではクライエントから「死んでしまいたい」みたいな話が出ると、このまま終わらせて帰しても良いものか分からなくなり、頭の中がグルグルになり、あとで先輩に相談したこともあります。

ブリーフセラピーを学んだ今では、そのフレームワークが、どんなクライエントの前でも冷静に「お話を聞かせてください」と面接を進めることができるだけの勇気を、わたしに与えてくれます。

ブリーフに生きる

やはり話が取り留めなくなってしまいました💦

でも、こうして振り返ると、カウンセリングの現場でも、自分のセカンドキャリアの歩みでも、大事なのは「深刻になりすぎないこと」だった気がします。

最後に、ブリーフセラピーを日本に紹介した、東北大学名誉教授の長谷川啓三先生が機関誌に書かれた文章を紹介して終わろうと思います。

そのまま紹介いたします。

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複雑で恐ろしいほどデッカく見える問題でも、たいそうに考え過ぎないで、ブリーフに!と、つまり「小さく、受け入れやすく、ちょっと面白い」解決策があるはず、それで行けるものだ!と、そんな構えで問題に向き合うこと。小さく見積りすぎるのも危険だが、実際は、これで多くはやれて来た。

幸せを得る方法と言って良い。

「ブリーフに!」

短期療法から学んだ。いわば小さく向かうこと、これが人生の大きな秘訣。

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最後まで読んでくださった、あなた。

ありがとうございます! あなたと、いわてキャリコンのご活躍をお祈り申しあげます。

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佐藤あきら

<資格・認定・検定>
産業カウンセラー
国家資格キャリアコンサルタント
2級キャリアコンサルティング技能士
ブリーフセラピストベーシック

<得意な領域>
医療、介護、金融

<モットー>
支援する人にも支援を