Monthly Column マンスリーコラム

2026年8月号

『アン』に学ぶ、自分らしく歩むための「選択」

皆さま、こんにちは。いわてキャリアコンサルタント研究会に所属しております佐藤麻子と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。

突然ですが、皆さんは『赤毛のアン』をご存じですか? 日本ではアニメが有名なので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

私は原作もアニメも好きですが、何年か前にNHKやNetflixで放送・配信されていたリメイクドラマ『アンという名の少女』にもすっかり引き込まれ、いっきに観てしまった記憶があります。

プリンス・エドワード島の美しい風景や丁寧な映像表現も素晴らしいのですが、ある視点から観ると、さらに深い気づきが得られます。

それは、既存の価値観にとらわれない少女アンがやってきたことがきっかけで、家族、ジェンダー、人種、教育、職業選択など、現代にも通じるさまざまな社会課題や枠組みに、アン自身も周囲の人々も向き合い、変化していく物語だということです。

観ているうちに、「本当の自分らしさ」「尊厳」「自由」「選択」とは何かを考えさせられます。そして、「いつでも、何歳でも、どんな状況でも、自分らしく生きることができる」――作品を通して、そんな言葉が心に浮かんできました。

ドラマは残念ながら原作の途中で終わってしまいますが、原作には、その先に描かれる印象的な場面があります。

大学進学を目前にしていたアンは、育ての親であるマシュウを亡くします。さらにもう一人の育ての親であるマリラの視力も衰え、マリラ一人で農場を守ることが難しくなってしまいます。

その状況に直面したアンは、大学への進学ではなく、マリラとともに暮らしながら地元の学校で教師として働く道を、自ら選びます。

この場面で印象的だったのは、アンがその選択に心から満足し、幸せそうだったことです。 そこには、「仕方がないから」とか「しょうがない」というような、何かを諦めた残念さのようなものは感じられませんでした。

環境がこうだから。

周りの人がそう言うから。

というような「選ばされた選択」ではなく、自分の芯にある価値観に基づいた、「私はこれを選ぶ」と静かに決めた人の強さを感じました。

残ることが正しい、進学することが正しい、という話ではありません。

大切なのは、その選択の中に「自分」がいるかどうかです。

過去も未来も、環境も、周りの人のこともすべてを考慮した上で、「今、私はこれを選ぶ」と決める。そのような選択をしたとき、人は凛として、しなやかに前へ進んでいけるような気がしています。

キャリアとは、自分自身の選択の積み重ねとも言えるのかもしれません。

そう考えると、その選択の岐路に関わらせていただくキャリアコンサルタントという仕事には、責任とともに、喜びや光栄さがあるのだと、あらためて背筋が伸びる思いがします。

そして、自分の価値観に基づいて何かを選ぶことは、自分自身の尊厳を大切にすることでもあるのではないか。

アンの姿から、私はそんな大切なことを感じました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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佐藤麻子

キャリアコンサルタント/コーチ/研修講師

ライフ&キャリアコーチとして、個人のキャリア支援やコミュニケーションをテーマに活動。
養護助教諭、児童養護施設での人事・会計・組織運営の経験を経て独立。

保有資格
・国家資格キャリアコンサルタント
・養護教諭二種免許状