Monthly Column マンスリーコラム

2026年9月号

片付けるように、キャリアを整理する

二回目のコラムのお誘いをいただきました。何を書こうか…としばらく迷っていましたが、せっかくなので、私の好きなことと、いま関わっている「キャリアの整理」との間に見つけた共通点のお話をさせていただこうと思います。

片付けにはたくさんの正解がある

私は、片付けが好きです。と言うものの、片づけることが得意な訳ではありません。

片付けが不得意で悩む人は、私を含め世の中にたくさんいて、だからこそ本屋に行けば毎月のように新しい「片付け本」が出版されており、雑誌を読めば「片付け特集」が組まれているのですね。

もともと、人の視点や考え方、解決法などを分けてもらえる自己啓発系の本が好きだったこともあり、ここ数年は「片付け本」を楽しく読んでいます。

片付けの方法はさまざまで、本によって真逆のことを伝えていることも多々あります。多くの方の指示を得てベストセラーになった片付け家さんのやり方が、自分には合っていないことも珍しくありません。

人は誰もが同じ性格、同じ性質、同じ行動パターン、同じ時間や環境を持っているわけではないので、誰のお悩みも解決できる唯一無二、これが王道! という方法なんて、ないのですね。

どれもが誰かにとっての正解で、誰かにとっては不正解だということ。それが面白くて、色々な本を集めて読み、ときに実践しています。

最近、「片付けはキャリアの整理に似ているな」と思うようになりました。

仕事や人生に対し、ジャンル混ぜこぜの多くの悩みを抱え、その整理ができずに途方に暮れている。

その姿は、部屋に分別なく散らかったものを前に呆然として、どう片づけていいか分からず立ち尽くすさまにそっくりです。

片付けとキャリアの整理の似ているところ

片付け本を求める人の多くは、自分の現状を打破し、今の自分が理想とする「唯一無二の正解」の部屋を作り出す方法を求めていると思います。

このやり方を真似すれば、散らかったあれこれがキレイに片付いて、整然とした部屋で暮らせるはず。もしくは、この収納法さえ守れば、雑誌やテレビで見るようなキレイでステキな部屋、自分の理想の部屋に住めるはず!

でも、先にお伝えしたとおり、片付けには実に多くの正解があり、選んだやり方が自分に合っているかどうかは分かりません。

そこを考えないまま、思いつき始めると…私は経験上知っています。

続かない、維持できない、余計に散らかる。そしてその先に、挫折とやる気の喪失がやってくるのです…。

だからこそ、

【手に届く範囲のモノから片付けて、床を広げることから始めるのか】

【目の上のたんこぶをひとつ片づけて「片づけた感」を出し、やる気を上げるべきか】

【たくさんの箱を用意し、散らかったモノをどんどん仕分け・分類するところから始めるか】

【思い切って全部捨ててリセットするべきか】

…などなど、他の誰でもない自分の性格、性質、行動パターン、時間や環境に合わせて考え、それに合った行動を選んで実践することが大事。

片付けに必要なのは正しい答えではなく、モノ、そして自分自身の整理のようです。

さて、キャリアで考えてみるとこうなります。

「こんな自分であれたらいいな」「あれもこれも、全部実現したい、しなければ」という理想(唯一無二の正解)の姿に、なかなか自分がたどり着けない、という悩みが頭の中に散らかっているとき、現状打破の方法は、誰にとっても同じではありません。

だから、まずは今の悩みを集め、さらに自分の性格、性質、行動パターン、時間や環境などを加味して、よくよく考えることが必要です。そうしてはじめて、

【今解決できる範囲の悩みから片づけて、余裕を広げることから始めるとよさそうか】

【大きな悩みに先に着手して、いったん安心すれば他の悩みにも取り組めそうか】

【先に細切れの悩みの総量を確認して、仕分け・分類した方がいいだろうか】

【思い切って環境を変え、リセットした方がいい状況だ】

といった、今の自分に合ったやり方・行動、つまり数ある正解の中の「自分にとっての最適解」を考え、選べるようになるのです。

ところで、私の場合

自分には、紙に思っていること、悩んでいること、今の時点で考えている解決法や理想などを、一度全て書きなぐるのが合っていました。

そうして書いたものを見てみると、客観的に思っていることや散らかっている悩みの総量がわかり、悩みの種類、分類が進むようになります。手をつけられるもの、自分では手に負えないもの、今解決できるもの、できないものが分かり、「あんなに悩んでいたのに…」と呆気にとられるほど、簡単に行動を選べるようになることもしばしば。

その結果、「今の理想って、自分にはあまり合っていないかも?」「実現したら、実は逆にしんどいのでは?」と気づけることも多々あります。

「あぶないあぶない、また挫折するところだった!」と、胸を撫でおろすこともしばしば。

自分の悩みをしっかり整理できれば、取り組み方が見えてくる。そうすれば、自分の部屋=キャリアは自然と片付いていくというのが、私の実感です。

「整理」の専門家

とはいえ、自分でそこまでたどり着くのは難しい場合もあります。

そんな時に、片付けなら「片付けのプロ」がいます。そして、キャリアの悩みには「キャリアコンサルタント」がいることを、ぜひ知ってください。

キャリアの悩みが散らかった部屋(現状)の前に、家主であるあなたと一緒にたたずみ、問いかけながら話を聴き、整理して、その人が自分のキャリアの「家主」として、悩みや問題をどう片づけるか選べるようにサポートすることが、キャリアコンサルタントの役割です。

その先にあるのは当初思い描いていた理想のキャリアかもしれませんし、理想とは少し違ったけれどとても居心地のよい、気持ちよく片付いた自分の在り方=「最適解」や「十分に納得できる選択」に出会えるかもしれません。

もし機会がありましたら、散らかした部屋をそのまま見せるように、今の悩みをぜひ、飾らない言葉でキャリアコンサルタントに語ってみてください。

あなたが居心地の良い部屋のような「最適解」、自分だけのキャリアを整え、歩んでいくための手助けが、きっと得られると信じています。

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橘麻衣子

ご家族やご近所さんのように気軽に話せる、『キャリアのおとなりさん』を目指して、キャリアコンサルティングにあたっています。
資格:国家資格キャリアコンサルタント / 2級キャリアコンサルティング技能士