Monthly Column マンスリーコラム

2026年2月号

夫の転勤とともに歩んだキャリア ~変化を力に変える~

みなさん、こんにちは。いわてキャリアコンサルタント研究会の澤﨑かおるです。

今回コラムを引き受けることとなり、自分のキャリアを振り返りながら、キャリア理論と重ねて考えてみました。よろしくお願いいたします。

私には子どもが3人おり、上は大学生、真ん中が高校生、下は小学生です。ちょうど就職氷河期世代です。転勤族の夫と結婚し、転勤先で出産・育児・子育てをしながら働き続けてきました。

私のキャリアは幼稚園教諭から始まりました。社会人になりたての頃は、業務の段取りに時間がかかり自己肯定感が低く、試行錯誤の連続でした。勤務した幼稚園は11クラスある大きな園で、教諭だけで16人、事務や給食、バスの職員をいれると30人以上という環境でした。個性豊かな先輩方に囲まれながら「自分の保育」を模索しました。

スーパーのライフキャリア理論でいう「探索期」にあたり、役割や自己概念を探し続けていた時期ととらえています。

またこの時期は、一人暮らしをスタートしたばかりで、暗い自宅に帰ることに慣れず、電気をつけて眠ったこともありました。自炊や体調管理に苦労し、胃腸炎で起き上がれなかった時は、実家が恋しく泣いたことも…自分の置かれた環境に慣れることに精いっぱいで、毎日を必死に過ごしていました。

数年して結婚を機に退職、その後は夫の転勤に伴い臨時職員やパートとして働き続けました。知人のいない土地での子育てと仕事の両立は、まるでジェットコースターに乗っているかのようでした。しかし、子どもたちの成長する姿や地域の方とのさりげない会話に支えられ、前向きに過ごすことができました。

ここで学んだのは、サビカス理論が示す「キャリア適応性」です。変化に柔軟に対応し、意味を見出す力が、私のキャリアを支えてくれました。

転機となったのは、3.11東日本大震災です。大船渡市で被災し、茶色だらけの景色の中を宮古市へ移動した光景は忘れられません。上の子が6歳、下が1歳でした。

「今できることを何でもいいから精いっぱいやろう」と決意し、スクールカウンセラーとして幼稚園に派遣されました。人手の足りない障がい児支援をしつつ職員のリフレッシュイベントを提案し、他機関と関わりながら、常に園全体を俯瞰する意識で働きました。子ども・保護者・職員の心に寄り添う姿勢を再び学びました。

この経験は、スーパー理論でいう「役割の多様化」を実感する機会でした。

その後、夫の転勤に伴い児童相談所や社会福祉協議会に勤務しました。社会福祉協議会時代は地域づくりの経験を積みました。企画書や報告書の作成、ワークショップ運営など、地域連携など子ども分野以外のスキルも身につけました。

キャリア理論でいう「再探索期」でしょうか、学び直しを重ねながら新しい役割を引き受けてきました。

その後は職業訓練を経て国の出先機関で事務職に就き、その期間にキャリアコンサルタント資格を取得しました。現在は県の機関で産休代替職員として、農業分野で地域と関わる仕事をしています。

振り返ると、キャリアの節目ごとに「変化への適応」と「学び直し」がありました。サビカス理論の関心・統制・好奇心・自信という4つの適応力は、私のキャリア形成に欠かせない要素でした。

そしてスーパー理論が示すように、キャリアはライフステージに応じて発達し、役割を重ねながら形成される事や、キャリアは一本道ではなく、ライフイベントや環境変化に応じて再構築されるということを現体験しています。

これから私は、キャリアコンサルタントの学びを活かすべく、再就職に挑戦するつもりです。実は現在の仕事は雇用期間が決まっており更新できません。これからどうなるだろう…と不安でいっぱいになるより、今出来ることを楽しみながらやっていこうと思います。

そしてキャリアコンサルタントで学んだことを、仕事やプライベートで出会う方に「変化は成長のチャンス」と伝えていくつもりです。

キャリアは自分で意味づけし、物語として構築していくもの。私自身がその物語を楽しむ実践者であり続けたいと思っています。

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澤﨑かおる

国家資格キャリアコンサルタント。
幼児教育、地域福祉、行政事務などの分野で人と地域にかかわる仕事に携わってきました。
子どもや地域と向き合う現場での視点と、暮らしに寄り添う福祉の経験を活かしながら、現在は行政の農業支援をしています。