Monthly Column マンスリーコラム
“自分を大切にできる社会”のために~キャリアコンサルタントになった私の原点と思い
皆様はじめまして。
いわてキャリアコンサルタント研究会の高橋未宇(たかはし みう)です。この度、新たに当研究会の理事に就任させていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私の原点:福祉と防災を軸に
私は、生まれつき脳性麻痺による車いすユーザーで、小学校5年生の3月に沿岸で東日本大震災を経験しました。
高校卒業後現在に至るまで、地元の福祉施設で補助員として働き、また防災や震災伝承に関する活動、インクルーシブ教育の推進に関する活動、福祉や防災に関するコミュニティ活動など、主に福祉と防災を軸として活動してきました。
そんな私がキャリアコンサルタントになったのは約2年前のことです。
もともと、「自分はこれまで多くの方々に支えられて生きてきたので、自分も他の誰かを支えることがしたい」と思い、福祉の世界に飛び込みました。
そんな中、日々多くの人と関わり、様々な経験をする中で「人の相談に乗る仕事がしたい」と思うようになりました。
「福祉で相談といえば 社会福祉士」と思い目指すことも考えていましたが、当時は「目指すには大学に進学しなければならない」という、私にとってのハードルの高さから難しいと考えていました。
そんな時に知ったのが「キャリアコンサルタント」でした。
キャリアコンサルタントへの導き
コロナ禍でオンラインが一気に普及し、私もオンラインを通していろいろな地域の方々と繋がりができていた中で「やっぱり相談の仕事がしたい」と言っていました。
するとある時、オンラインで繋がっていた方から「そんなに相談の仕事がしたいのならキャリアコンサルタントになればいいのでは?」と教えていただいたのです。
「キャリアコンサルタント」という名前を聞いて、高校時代にお世話になった進路ガイダンスの講師の方や、相談員の方がキャリアコンサルタントを名乗っておられたことを思い出しました。
さらに時を同じくして、当時オンラインで行っていたプロジェクトの仲間がキャリアコンサルタントの資格を取得したことを聞きました。
「これは何かの縁」と感じ、すぐに厚生労働省認定の養成講習をオンラインで受講し、国家試験に2度の挑戦を経て、キャリアコンサルタントの資格を取得しました。
現在は、キャリアコンサルタントとしても活動しています。
キャリアとは「人生そのもの」
キャリアコンサルタントの扱う「キャリア」とは、狭義の「仕事上のキャリア」だけではなく(もちろんそれも大切ですが)、「人生そのもの」です。
制度上、職業能力開発促進法に基づき、労働者の「職業の選択」「職業生活設計」「職業能力の開発・向上」に関する相談に応じ、助言・指導を行うこととなっています。
その根底にあるのは、「人生そのもの」に伴走していくということです。その人がどんなことを大切にして、どんな風に生きていきたいのか。そこに焦点を当てていくのです。
私自身がキャリアコンサルティングを学び、キャリアコンサルタントになって活動し、そして今も学び続ける中で感じていることは、「受け止めてくれる人のいること」と「自分を知ること」の大切さです。
人は悩む。だから支えが必要
人は大人になっても、日々いろいろなことで悩みます。多くの出来事を経験し、様々な感情を抱き行動します。人の行動は、本人は気づいていなくても、その時々で自分自身で一生懸命、精一杯考えて決断した結果です。
大人になっても泣きたい時はあるし、叫びたくなる時もあります。いろいろな出来事があり、いろいろな感情が出てくるのは、自然なことです。
そして、悩んだり、辛くなったりしているということは、その人がそれだけその物事に対して一生懸命向き合おうと頑張っている証拠だと思います。
その感情、気持ちを誰にも言えずどこにも出せずにいると、さらにしんどくなってしまいます。
だからこそ、いろいろな感情・気持ち・想いをありのまま受け止める(受容する)存在が必要であり、その一躍をプロとして担えるのがキャリアコンサルタントであると思っています。
そして人々の気持ち、想いに寄り添い、その人の見ている世界を理解しようと努めその人を信じ、一緒に考え支えるといった関わりです。
自分を知ること、それが力になる
どんな出来事から抱くどんな感情も、全てその人にとって大切な感情で、抑える必要はないし、もっと言えば、「今はこの感情を抑えたい」という感情も、ひとつの感情です。
その感情の背景には、その人の感じ方や、大切にしている価値観があります。そしてその感じ方や価値観を見つめ、理解していくことが「自分を知ること」です。
自分自身がどんなことを大切にして、どんな風に生きていきたいのか。
もっと身近で考えると、自分の心は、今どんなことを思っていて、本当はどうしたい(行動したい、選択したい)のか、という「自分の心に向き合い、声を聴く」こと。
それは、自分に優しくなり、願いを叶えていくために大切なことだと感じています。そこに寄り添い、一緒に見つめ、考えていきます。
私が思うキャリアコンサルタントという仕事
その人がその人らしく、その人の望む人生が送れるようにサポートをするのがキャリアコンサルタントです。
すなわち、人生に伴走するカウンセラーであり、コーチでもあります。
そして、個人に対してだけでなく、会社や組織を元気にするために働きかけ(サポート)を行うことや、教育機関と連携してキャリア教育を行うことも役割の一つです。
私は個人や組織に伴走し、より良い(インクルーシブな)社会をつくっていく一助になることができたらと思っています。
「どんな私もあなたもOK!(^o^)」の社会へ
私の考えるより良い(インクルーシブな)社会とは、「どんな私もあなたもOK」と、あらゆる価値観・考え方・生き方、そしてそれらの変化も含めてお互いに認め合い、受け止め合い、支え合うことのできる社会です。
人は皆、その人として尊いのです。自分で自分を認める「自己承認」が大切であると言われていますが、自分だけで100%自分を認めることは難しいと感じています。
だからこそ、お互いに認め合うことが自己承認の一助になるとも言えると思います。
県内でもさらにキャリアコンサルティングが普及し、誰もが自らが望む生き方を見つめ、自分の心を大切にしていいのだと感じることがでれば、ある意味では幸せにつながるのではと思っています。
自分の心を大切にしていいのだと感じた人が、また他の誰かを支え、キャリアコンサルティングに限らず、社会全体に広がっていけば嬉しいなと思います。
そして、私がその一助になることが、恩送りになれば幸いです。


高橋未宇
キャリアコンサルタント/教訓をつなぐ福祉・防災ファシリテーター
保有資格
◯国家資格キャリアコンサルタント
◯第一種衛生管理者
◯介護福祉士実務者研修修了
◯日本パラスポーツ協会公認 中級パラスポーツ指導員
◯防災士
◯一般社団法人福祉防災コミュニティ協会 福祉防災認定コーチ
◯防災教育コーディネーター 他
座右の銘:どんな私もあなたも OK!(^o^)